文化庁のサイトで、違法ダウンロードに関するQ&AがPDF形式で公開されました。現在2種類のPDFがダウンロードできます。PDFには計15個Q&Aが掲載されています。
その中で重要な論点をいくつかピックアップしていきます。
刑罰化のおさらい
2012年10月1日に施行される違法ダウンロード刑罰化の内容は以下のとおりです。
私的使用の目的であっても、有償著作物等(Q2参照)の場合には、著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(Q3、Q6参照)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(Q4参照)を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害(問Q5参照)した者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされています
有償著作物等とは?
有償著作物等の具体例が列挙されています。
その具体例としては、CDとして販売されていたり、有料でインターネット配信されているような音楽作品や、DVDとして販売されていたり、有料でインターネット配信されているような映画作品が挙げられます。
CD、DVDとして発売されているもの、有料のインターネット配信が対象になるようです。
自動公衆送信については、公衆送信権 – Wikipediaによると
自動公衆送信 公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(2条1項9号の4)。インターネット上のサーバに著作物を格納し、利用者がアクセスすることによって著作物が送信されるような場合がこれにあたる。自動公衆送信は、入力型(地上波テレビのIP同時再送信)と蓄積型(ビデオ・オン・デマンド)に区別される。
たとえば、サイトの訪問者が「ダウンロード」と書かれているリンクをクリックすると、サーバーからデータが送信されるようなケースのことを指しているのでしょう。実際はリンクをクリックしなくてもサイトにアクセスするだけで、勝手にデータが送信されくる場合も含まれるようですね。
違法配信されているコンテンツの視聴について
違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。
YouTubeも視聴だけなら問題ないようです。
動画投稿サイトにおいては、データをダウンロードしながら再生するという仕組みのものがあり、この場合、動画の閲覧に際して、複製(録音又は録画)が伴うことになります。しかしながら、このような複製(キャッシュ)に関しては、第47条の8(電子計算機における著作物利用に伴う複製)の規定が適用されることにより著作権侵害には該当せず、「著作権又は著作隣接権を侵害した」という要件を満たしません。
もちろん再生だけではなく、ソフトを使ってダウンロードする行為は処罰の対象になります。
ネット利用が不当に制限されるのでは?
違法ダウンロードに係る刑事罰については、故意犯のみを処罰の対象としており、「有償著作物等」であること及び「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信」であることを知っていない場合には、刑罰の対象とはなりません。
また、この刑事罰は親告罪(第123条)とされており、権利者からの告訴がなければ公訴を提起できないこととされています。
つまり、処罰される可能性があるのは、ダウンロード行為が違法だと知っていて、なおかつ被害者によって告訴された場合のみです。
まとめ
違法ダウンロード刑罰化で重要なのは、「私的利用」も対象になるということです。
そして、処罰される可能性があるのは以下の2つの条件を満たす場合のみです。
- 有償著作物等の自動公衆送信をデジタル方式の録音・録画する行為
- その事実を知っていて、親告された場合
YouTubeのプログレッシブダウンロードは「デジタル方式の録音・録画」にあてはまらないのでセーフ。その他動画サイトのストリーミング配信も、同じ理由で再生だけならセーフ。
友達からのメールに添付された、著作物である音楽ファイルをダウンロードしてしまった場合も、自動公衆送信にあてはまらないのでセーフ。
コメント