文化庁が違法ダウンロード刑事罰化についてのQ&Aを公開、その内容は?

2012-07-13_02h10_40

文化庁のサイトで、違法ダウンロードに関するQ&AがPDF形式で公開されました。現在2種類のPDFがダウンロードできます。PDFには計15個Q&Aが掲載されています。

その中で重要な論点をいくつかピックアップしていきます。

刑罰化のおさらい

2012年10月1日に施行される違法ダウンロード刑罰化の内容は以下のとおりです。

私的使用の目的であっても、有償著作物等(Q2参照)の場合には、著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(Q3、Q6参照)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画(Q4参照)を、自らその事実を知りながら行って著作権又は著作隣接権を侵害(問Q5参照)した者は、2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科することとされています

有償著作物等とは?

有償著作物等の具体例が列挙されています。

その具体例としては、CDとして販売されていたり、有料でインターネット配信されているような音楽作品や、DVDとして販売されていたり、有料でインターネット配信されているような映画作品が挙げられます。

CD、DVDとして発売されているもの、有料のインターネット配信が対象になるようです。

自動公衆送信については、公衆送信権 – Wikipediaによると

自動公衆送信 
公衆からの求めに応じ自動的に行う送信(2条1項9号の4)。インターネット上のサーバに著作物を格納し、利用者がアクセスすることによって著作物が送信されるような場合がこれにあたる。自動公衆送信は、入力型(地上波テレビのIP同時再送信)と蓄積型(ビデオ・オン・デマンド)に区別される。

たとえば、サイトの訪問者が「ダウンロード」と書かれているリンクをクリックすると、サーバーからデータが送信されるようなケースのことを指しているのでしょう。実際はリンクをクリックしなくてもサイトにアクセスするだけで、勝手にデータが送信されくる場合も含まれるようですね。

違法配信されているコンテンツの視聴について

違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたりするだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。

YouTubeも視聴だけなら問題ないようです。

動画投稿サイトにおいては、データをダウンロードしながら再生するという仕組みのものがあり、この場合、動画の閲覧に際して、複製(録音又は録画)が伴うことになります。しかしながら、このような複製(キャッシュ)に関しては、第47条の8(電子計算機における著作物利用に伴う複製)の規定が適用されることにより著作権侵害には該当せず、「著作権又は著作隣接権を侵害した」という要件を満たしません。

もちろん再生だけではなく、ソフトを使ってダウンロードする行為は処罰の対象になります。

ネット利用が不当に制限されるのでは?

違法ダウンロードに係る刑事罰については、故意犯のみを処罰の対象としており、「有償著作物等」であること及び「著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信」であることを知っていない場合には、刑罰の対象とはなりません。
また、この刑事罰は親告罪(第123条)とされており、権利者からの告訴がなければ公訴を提起できないこととされています。

つまり、処罰される可能性があるのは、ダウンロード行為が違法だと知っていて、なおかつ被害者によって告訴された場合のみです。

まとめ

違法ダウンロード刑罰化で重要なのは、「私的利用」も対象になるということです。

そして、処罰される可能性があるのは以下の2つの条件を満たす場合のみです。

  1. 有償著作物等の自動公衆送信をデジタル方式の録音・録画する行為
  2. その事実を知っていて、親告された場合

YouTubeのプログレッシブダウンロードは「デジタル方式の録音・録画」にあてはまらないのでセーフ。その他動画サイトのストリーミング配信も、同じ理由で再生だけならセーフ。

友達からのメールに添付された、著作物である音楽ファイルをダウンロードしてしまった場合も、自動公衆送信にあてはまらないのでセーフ。

関連記事

違法ダウンロード刑罰化に関する要点まとめ

2012年10月1日からダウロード違法化に罰則が追加されることで、何が変わるのでしょうか?

ダウンロード違法化に罰則ができるまでの経緯

2010年1月にダウンロード違法化が志向された当初から、罰則がないことが問題視されていました。

2012年5月には、罰則を導入することが検討され修正法案が出されました。自民党の政務調査文部科学部会では、担当者は以下のように述べています。

「罰則がないと実効性が伴いませんので、本当なら2年前に設けたかったことがあります。今回は、国民に周知徹底する期間が終わったと判断したから提案しました。審議会にかける政府のやり方では時間がかかりますので、議員の判断が迅速な意思決定に必要だったということです」

刑罰化に対しては、日本弁護士連合会からの反発がありました。以下「Wikipedia」より。

ジャーナリストの津田大介は「罰則が設けられれば、事情を分からない人が1クリックで犯罪者になってしまう恐れがある」と指摘している[1]。 2012年6月4日、インターネットユーザー協会は『違法ダウンロード刑事罰化』について、「法律を完全に理解していない子どもが摘発の対象となる」ことや、「別件捜査が容易になり、プライバシー(通信の秘密)の侵害につながる」ことなどを理由に、反対声明を発表した

日本弁護士連合会の反発もむなしく、2012年6月15日には、著作権法の改正案について、衆議院本会議において私的違法ダウンロード刑罰化を追加する修正案が提出され、賛成多数で可決されました。

なにがダメになるのか、違法行為の対象は?

音声および映像に関して、違法コンテンツと知りながらダウンロードする行為が違法になります。つまり、以下の2要件を同時に満たした場合のみ違法行為とみなされます。

  1. 音声または映像コンテンツに対して
  2. 違法と知っててダウンロードした

動画共有サイト上でストリーミング視聴(普通にブラウザで見るだけ)の場合は、今まで通り問題ありません。

特に問題となるのは、YouTubeやニコニコ動画などの動画共有サイトの動画のダウンロードでしょう。

違法行為となるのは、ソフトやツールを使い、HDDにデータを保存するケースです。例えば、「Craving Explorer」や「Video DownloadHelper」などのソフトを使用したダウンロードはアウトです。「にこさうんど#」や「nicomimi」の利用もダメでしょう。

どんな罰則が科される?

2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金という、それなりに重い罰則が科せられます。

バレないから問題ない?

「どうせバレないから問題ないじゃん」と思ったあなたには、BLOGOSの「ダウンロード違法化の未来は警察国家ニッポン」が参考になります。

現在、発信者情報開示請求というのは可能になっていて、これは警察や裁判所を経由でちゃんと請求されればプロバイダなどはそれに従わなければならない。違法なコンテンツを配信してる人はこれで特定し、逮捕することができる。

ここに受信者の情報も開示請求できるようになったら、違法コンテンツの取得者も特定できるだろうが、代わりに「通信の秘密」がほとんど形骸化してしまう。我々のプライバシーは警察にだだ漏れになる。それがどんな恐ろしいことか理解できるだろうか?

要するに、警察は違法の疑いがあれば、裁判所に許可をとってアクセスログやダウンロード履歴なんかも調べることができるわけです。

ネットの反応(Togetter)

関連記事